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2020年05月19日放送

首脳通訳

日米変えた「不沈空母」の意訳

読売新聞 4月17日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今日は「首脳通訳」に関する内容です。ニュー門先月17日掲載の「日米変えた「不沈空母」の意訳」についてピックアップしてお伝えします。

うーん。「意訳」ということで、今回は通訳の方のお話?なんですか?

そうです。外交の舞台で、言葉のプロとして首脳とか閣僚たちを支えるのが通訳の仕事です。

はい

通訳っていうと黒子的な存在ですけれども

ええ

名訳や誤訳が外交を左右することもあるだけに、日本の通訳たちは外交のプロとしても日々、研さんを積んでいるそうなんです。

んー。ま、その、訳した言葉がそのまま相手に伝わってしまうだけに、責任は重大ですよね。

そうですよね。その特徴的な例として、1983年の1月、アメリカの新聞「ワシントン・ポスト」が、アメリカを訪問した当時の中曽根康弘総理大臣が、
インタビューで、「日本を不沈空母(unsinkable aircraft carrier)にする」と発言したと報じました。

はい。

「不沈」。沈まないとう漢字をあてて、「空母」というのは航空母艦の空母ですね。
当時の日本とアメリカの関係は、前任の鈴木善幸総理大臣が、首脳共同声明の「同盟関係」という言葉に「軍事的意味はない」と言ったことなどで、

はい

アメリカ側に日本に対する不信が広がっていたんですけれども、
中曽根氏のこの「不沈空母」という発言が、日本が軍事的な役割を果たすメッセージと受け止められて、日米関係を好転させたんです。

んー。この一言が決め手になったということなんですねー。

はい。ところが

はい。(?´・ω・`)

実は中曽根氏はインタビューでは「不沈空母」という言葉を使っていなかったそうで、

はい。Σ(゚Д゚;)

「日本列島を、ソ連の爆撃機の侵入を許さないよう、周辺に高い壁を持った大きな船のようなものにする」などといった中曽根氏の発言を、

ええ、ええ。

通訳の方が意訳したそうなんです。

へー。そうなんですね。

しかしながら、アメリカ側の好反応を知った中曽根氏は「そのままでいい」と評価をして、歴史的な一言となったわけなんです。

へー。そんなこともあるんですね。

ねー。結果的に通訳のファインプレイと言えそうですよね。

はい。

一方で1972年9月。当時の田名角栄総理大臣の中国訪問では、
田中氏が日本軍の過去の行為に触れて「多大なご迷惑をおかけした」と発言したのを

はい。

通訳がですね。
軽い間違いを謝る意味の中国語に訳しまして、中国側の反発を招いてしまったこともあるんです。

なるほどー。
その同じように謝っている言葉でも、

ええ

それぞれの言葉のニュアンスっていうところも伝えなくてはいけないので、ひとことひとことの通訳に気が抜けないところもありますよね。

そうですね。

ところで、そんな外交の通訳ってどういう方がやっているんでしょうか?

はい。以前は、民間の専門家も雇っていたそうなんですけれども、

はい。

少なくとも2004年以降は、外務省の「通訳担当官」が担っています。

はい。

現在は28言語で、110人の通訳担当官が活躍中なんです。

うーん。( ^ω^)

英語などの主な言語では、入省10年程度で、首脳会談の通訳に選ばれるそうです。

へー。

帰国子女が経験と研さんを積む場合が多いようで、英語とフランス語では、天皇陛下の通訳も外務省の通訳担当官が務めることが多いそうなんです。

帰国子女で言語堪能な方が多いんですかね。

そのようですね。一方で、通訳担当官になるのは帰国子女ばかりではない。カンボジア語の友滝彩・通訳担当官は、入省時にカンボジア語を選択して、プノンペンの大学で2年間学んだ後、

はい

現地の日本大使館に3年間勤務して通訳の経験を積んだそうです。

うーん。

最初の頃は話す内容をうまく通訳できずに悔し涙を流したそうですれども

はい。(´;ω;`)

「20歳代全てをささげた」という努力が実って

すごい

4年目には、安倍首相と首脳会談に臨むフン・セン首相の通訳を任されるまでになりました。

はい

フン・セン氏が聞いたこともない伝統行事について首脳会談で語り出して

ええ

頭の中が真っ白になった時は、カンボジア側の出席者がメモを差し入れてくれて

ほー。

何とか乗り切った。というエピソードもあるそうです。

えー。なんかその言葉だけではなくて、文化の部分も理解を深めなきゃいけないというのは大変ですけれども、通訳の方にもそれぞれ苦労だったりドラマがあるんですね。

そうですね。
ところで、日本以外の通訳に目を向けると

はい

アメリカ政府では、通訳は原則、外交事務には関わらないんです。

はい。

外交的は配慮を持ち込まずに、正確な翻訳に努めさせる狙いがあるそうです。

なるほど。

これに対して日本の通訳担当官たちは、他の外交官同様の外交事務に携わっています。

はい

外務省の幹部は「自らも外交の仕事をこなしているからこそ、的確に訳すことに加えて、臨機応変に対応できる」と日本式のメリットを語っています。

国によって通訳の位置づけも違うんですね。

そうです。こんな方もいるんです。英語の総理通訳を務める高尾直・通訳担当官は、普段は首席事務官として外交全般の調整にあたっています。

はい。

関係者によりますと、日米首脳会談のとき、トランプ大統領が某国首脳を批判しまして、
安倍首相が返答に困っていると、
高尾氏が機転を利かせて「私もそう思う」とジョークで応じて

おー。(≧◇≦)

トランプ氏を爆笑させるなど、

はい。(≧▽≦)

潤滑油にもなっているといるそうなんです。

すばらしいですね。

トランプ氏は高尾氏を「Little Prime Minister(小さな総理)」と呼んで気に入っているそうです。

へー。日本での通訳の役割の重要性というのを改めて感じますね。

そうですねー。ちなみに日本では通訳の8割から9割が女性という見方もあって

ええ。

その理由は、「女性の方が言語能力が高い」とか「コミュニケーションや気配りは女性の方が得意」など、さまざまな理由が語られています。

はい

なお、外務省の通訳担当官は、110人のうち、女性は35人。
3分の1程度ですけれど、

はい

最近は女性職員が増えていまして、今年4月に入省した職員では、将来管理職
となる総合職で、女性の数が男性を上回ったそうです。

うーん。

近い将来、総理通訳として首脳外交を支える女性がもっと多く見られそうですね。

そうですね。
それぞれの国同士がスムーズにコミュケーションをとるためにも

うん

通訳の方の役割っていうのは大きいんだな。っていうのを今回のお話を聞いていて実感しましたね。

はい。

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