帰蝶の「立て膝」は史実だった
2020年04月28日放送
昭和の城天守閣再生 大阪に秘策あり
読売新聞 4月12日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
この門を開けば、ニュースの世界がよりクッキリ見えてくる!
ラジオ版NEW門ニュースの門。今日は「昭和の城」に関する内容です。「NEW門」今月12日掲載の「天守閣再生 大阪に秘策あり」についてピックアップしてお伝えしていきます。
うーん。
「天守閣」ってお城のメインの部分のことですよね?
そうです。
天守、天守閣はお城の本丸。
メインの建物をさす言葉ですけれども、
この「天守」っていう名称は、あの、織田信長が建てた安土城の「天主」に由来をするそうなんです。
はーい。
そして現在みられる日本の城の天守は、その多くが、戦後に鉄筋コンクリート造で建てられたものなんです。
はい。
日本城郭協会によりますと、天守は全国に100近くありまして、その再現の度合いによっていくつかに分類されるそうなんですが
ええ
江戸時代以前に建てられて、今もその姿をとどめている「現存天守」と呼ばれるものは、姫路城、松本城など国宝の5つのお城と、重要文化財の7つのお城だけなんです。
そうなんですね。
はい。
「現存天守」というのは合わせて12しかないということなんですね。
そういうことになります。
そして、実は最も多い天守は、自治体とか民間が、観光の盛り上げなどの理由で、実在しなかった天守を創作したりとか、
ほー。(*^-^*)
史実と全く異なる姿で再建した「模擬天守」というもので、56もあるんです。
そうなんですか!あはははは。
結構作っちゃったものが多いってことなんですね。
そう!模擬天守が多いっていうことなんですね。
へー。そうなんだー。
そして、現存天守以外の多くは、国や自治体が、歴史的価値の高い場所として指定をする史跡の上に立っているので、天守の再建といのは文化財保護法とか条例で規制をされているんです。
再建にはルールがあるっていうことなんですね。
そうなんですよ。
ところで話を聞いていると、いまあるお城って、昭和の時代あたりで建てられたものが多いということなんですか?
そうなんです。ところがそんな各地の町のシンボルにもなっている、いわば「昭和の城」に
いま、老朽化の波が押し寄せているんです。
はい。(・0・。)
例えば和歌山の城天守閣は、2年前に耐震診断で「震度6強以上で倒壊する危険性が高い」と判定をされてしまったんです。
はい
一帯は南海トラフ巨大地震で、震度7の揺れも想定されていて、これ、市民の間には衝撃が走ったんですね。
そうですよね。
「地元のお城が地震で倒壊してしまったら」って考えたら、怖いですよね。
そうですよね。
あの、戦災で焼けてしまった紀州徳川家の居城は、1958年昭和33年に鉄筋コンクリートで再建をされたとき、市民から5700万円もの寄付が集まったそうで、
はーい。
市民にとっては、まさに「わしらの城」なだけにショックも大きいようなんです。
はい。(´Д`;)
そしてほかにも、名古屋城、岐阜城、北海道の松前城なども、相次いでこの倒壊の恐れを指摘されているんです。
はい。
2016年の熊本地震でも、あの熊本城の天守閣の屋根とか、石垣の一部が損壊をして各地で危機感が広がりました。
その映像はけっこう衝撃的だったなという風に思いますけれども
うーん。
でも、どうしてこんな状況になってしまったんでしょうか。
はい。この背景には、木造よりも安くて、不燃不朽。燃えない、朽ちないという「コンクリート神話」があったようなんです。
はい。
戦争の空襲とか災害で失われた各地の天守は、1950年代から60年代に、鉄筋コンクリートで次々に復元をされたんですけれども
はい。
建物の耐用年数が50年から60年程度と判明をして、そんな昭和の城がいま、その期限を迎えつつあるわけなんです。
建て替えの時期なんですね。
そういうことになるんです。
でも、さきほど、お城の再建にはルールがあるっていうこともありましたよね。
そこなんです。老朽化した天守の建て替えには、これまで、「本物の再現」という高いハードルがありました。
はい
それは築城ブームの時に、いわば際限なく勝手な建築を許してきてしまった反省から、
はい
文化庁は、1991年以降、国の特別史跡・史跡に建っている天守の再建について、「資料を基に忠実に復元しなければ認めない」としたんです。
んー。なるほどー。(。-`ω-)
でも現在のように、老朽化した天守が多い危機を受けまして、条件を満たせば建て替えを認める方向へと流れが変わってきています。
そうなんですね
それぞれの自治体の建て替え方針にも影響しそうですよね。
はい。
そして次に大きな課題になるのは、高額の建て替え費用。お金です。
うーん。(-ω-;)
名古屋城や松前城などは木造で再建する方針なんですが、城によっては数百億円もかかるそうなんです。
そうなんですね。Σ(- -ノ)ノ
ええ。そんな中、およそ70億円をかけた1990年代の「平成の大改修」で、「コンクリートの長寿命化」を成し遂げた大阪城の天守閣が再び脚光を浴びているんです。
へー。今日のタイトルにもありましたが「大阪に秘策あり」っていうところの話ですね。
そうなんです。
実は大阪城は鉄筋コンクリートの天守の世界ではトップランナー的な存在だそうなんです。
へー。
大阪城の天守閣、これ1931年に復元されたものなんです。で、1995年からの改修は、当初は化粧直し程度だったそうなんですが、着工の直前に起きた阪神大震災を受けて、大阪市は耐震工事の本格実施に踏み切ったんです。
あー。阪神大震災がきっかけになったんですね。
はい。あのコンクリ―トは、本来、酸性、アルカリ性で言うところのアルカリ性なんですけれども、
ええ。
空気中の二酸化炭素で中性化されて、鉄筋が腐食していきます。
大阪城では特殊なアルカリ溶液を使って、老朽化したコンクリートを再びアルカリ性にする「再アルカリ化」というのに成功しました。
へー。(・0・。)
この技術は、ビルとか橋の補修で使われた、当時の最新技術だったんです。
はい。
そして、回収後の1997年に鉄筋コンクリート造の天守で、初めて国の登録有形文化財となりました。
はい
大阪城天守閣研究副主幹の宮本裕次さんは、「新品の状態に戻せた。『延命』ではなく、『リセット』だ」と胸を張っています。
おー。すごい!
今年1月には文化庁の作業部会に呼ばれてこの実績を説明したそうで、和歌山城でもこの復元手法を一つの選択肢として考えているそうです。
はい。
「見上げれば天守がある」
うーん
そんな光景を残せるかどうかは令和の時代に生きる私たちに託された課題。と言えそうです。
昔からの歴史とかその文化、建物というのを残していくためには、同時にその今の最新技術とかだったりっていうのも必要になってくるんですね。
そうですね。
はーい。