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2020年11月04日放送
マツタケ山が豊かになったら…「高根の花」マツタケ、ますます縁遠く
読売新聞 10月11日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門ニュースの門です。今回のテーマは「マツタケ」です。
マツタケ、いいですね。
おいしそうでしょ?
はい。
NEW門先月11日掲載の『山が豊かになったら…「高根の花」マツタケ、ますます縁遠く』についてピックアップしてお伝えします。
秋の味覚の代表格ですよね。マツタケ。
うーん。
確かに高根の花っていう感じがしますよね。
フフフ(笑)そうですね。秋の味覚の代表格。庶民にとっては「高根の花」でもあるマツタケですけれども、実は国際自然保護連合(IUCN)が7月、絶滅危惧種に指定し、ますます遠い存在になってしまったんです。
はい。
減った理由は様々あるようなんですが、意外にも山が豊かになったことが大打撃になったようなんです。
そうなんですね。豊かになるのは良さそうな気がしますけれども
はい。
それが大打撃になったということで、それは気になりますよね。
ま、そんなマツタケってほんとにいい香りしますよね。
7世紀から8世紀頃に詠まれた4500余りの歌を収めた日本最古の歌集・万葉集には
「高松の この峰も狭せに 笠立てて 満ち盛りたる 秋の香かのよさ」(作者不詳)
という一首もあるように、マツタケが群生して、香りが一面に漂う当時の情景が目に浮かびます。
うーん。昔からマツタケは愛されていたんですね?
そのようなんですね。特にその香りは古くから日本人をひきつけて、室町時代の応仁の乱の最中もですよ?
はい。
公家たちがマツタケ狩りに興じていたという記録が残っているそうです。
えーそうなんですね。
ところでそんなマツタケは、かつてはごく身近な食材だったそうなんです。
はい。
三重県史の編集委員を務めた吉村利男さんが大正初期の記録を調べたところ、当時は1キロおよそ15銭で、シイタケの方が8倍も高かったそうなんです。
わあ、シイタケの方が高かったんですねー?
そうなんですよ。
へー!そんな時代があったんですねえ。
うんそんなマツタケは欧米やアジアに広く分布しているんですが、IUCNの推計によりますと、この50年で生育に適した場所が世界で30%以上減ったそうなんです
はい。
そして特に日本は深刻で、高度成長期に入った昭和中期から収穫量が急に減って、昨年はおよそ14トン。これ、ピーク時の1941年の、なんと0.1%近くまで落ち込んだんです。
そうなんですね。どうして日本のマツタケはそんなに減ってしまったんでしょうか。
理由なんですが、開発に伴う松林の減少や、松食い虫による松枯れなどがあります。マツタケは、アカマツの根っ子と絡み合うように菌糸を伸ばして、マツタケの方が栄養をもらう代わりに、木の方に水分やミネラルをあげちゃうという共生関係にあるので
はい。
松林っていうのは、まさに生命線なんですね。
はい。
れは腐った木に生えるシイタケなどと違って、生きた木と共生して育つという性質が、逆に人工栽培の実現を阻んで、
うーん。
減少に拍車をかけているようなんです。
あーなるほどー。
あとは、今回のテーマにもあるように、山が豊かになったことも、このマツタケの減少には関係あるんでしょうか?
実はですね、それが主な原因のようなんですよ。
はい。
キノコに詳しい東京農業大学の江口文陽教授は「里山に人の手が入らなくなったことが大きい」と指摘しているんです。
はい。(・・?)
あの、薪や枝葉、草が、燃料とか肥料として使われなくなって、落木、落ちた木とか枯れ草が積もって栄養が増えて土が肥えてしまって、
はい
やせた土を好む性質を持っているマツタケが減ったそうなんです。
へー
普通、人の手が入って絶滅に向かうことが多そうなんですが、マツタケっていうのは逆のケースと言えそうです。
マツタケは栄養の少ない痩せた土が好きなんですね。
そのようなんです。ところで、店頭に並ぶマツタケの大半は中国や北米などからの輸入もので、昨年は流通量の98%を占めました。また海外でも同じ理由でマツタケは減っているんですけれども
ええ
高級キノコの「トリュフ」のように珍重されていないので、輸入量は比較的確保しやすいそうなんです。
海外ではマツタケってそこまで人気じゃない。大人気じゃないってことなんですか?
そうこれ、意外にもそうなんですが、
えー。
その理由がですね、
はい。
あの香りなんですよ。
魅力でもある、香りですよね?
海外だと「風呂に入っていない人の体臭」とか
フフフフ(笑)
「足の蒸れたにおい」などもう散々な言われようで、
やだー。(ノω<;)
ヨーロッパの学者が付けた名前は「不快臭のする」キノコ。なんですね。
えーそうなんですね。
そうこれ嗅覚の違いに驚くばっかりですけれども、日本人にとってはこれ逆にありがたい違いなのかもしれません。
そこまで違うのおもしろいですよねー。
まあでも、国内でも海外でもマツタケが減っているっていうのは心配ですよね。
そうですね。
実は近い将来、手が届かなくなりそうな食材っていうのは他にもあるんですよ。
はい
国際自然保護連合(IUCN)は既に、ニホンウナギやクロマグロ、メバチマグロなども、絶滅危惧種に指定したほか
はい。
ハマグリやミル貝(ミルクイ)も、絶滅の恐れがある国内の野生生物をリストアップした環境省の「レッドリスト」に加わりました。
はい。
いずれも乱獲とか生息環境の減少が主な原因とされているんです。
そうなんですね。今まで日本で多く食べられてきたようなものが絶滅の危機になっているのはちょっと残念ですね。
ちょっと大変なことですよね。
はい。
明治の文豪の幸田露伴は、ウナギのかば焼きの上にですよ? 二つに裂いた大きなマツタケをのせて
ええ。
酒で薄めた「たれ」を注いで火にかけた土瓶蒸しが好物だったそうです。
うーん!(*´Д`)
そんな露伴が記した「貧富幸不幸」には「貧富何ぞ論ずるに足らんや、ただ一日を如実に働くべきのみ」。という一節があるんです。
はい。
仕事を終えた後に、食卓に並んだ庶民の味に幸福を感じていた露伴ですけど、もしこの料理を再現した場合にかかる費用を知ったら、どんな顔をするでしょうね。
ウフフ(笑)もうもはや庶民の味と言える額じゃなさそうですよね。これはね、
結構行きますよね。これはね。
はーい。
とはいえ、食に貪欲なのは人間の性です。
うーん。
実は代わりの食材も探されていまして
ええ。
その一つが「バカマツタケ」です。
すごい名前ですね。
奈良県森林技術センターなどが人工栽培に成功していまして、マツタケよりひと足早く生えることから「バカ」と名付けられてはいるんですが、
ええ。
実は味わいは同等で、香りはより強いそうです。
へー。
こっちもおいしそうですね。
ねー。こういう話を聞くと、いろんなね、人間はいろんな命をいただいているな。というのを改めて実感しますし、
はい。
先ほどの話にも揚:りましたけれども、人間はほんとに貪欲な生き物だな
ね
と感じますけれども
代わりを探しあててね。
自然環境を守りながらいきたいな。とも感じますね。