デジタル化と現実 双子の街作り
2020年09月08日放送
人工冬眠もうSF映画ではない?「人工冬眠」
読売新聞 8月10日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今回のテーマは「人工冬眠」です。
人工冬眠
はい。NEW門先月10日掲載の『もうSF映画ではない? 「人工冬眠」』についてピックアップしてお伝えします。
はい。
宇宙船の中のカプセルが静かに開くと、長い眠りから覚めたクルーが、窓の外の惑星を眺めて「もうすぐ到着だ」なんてつぶやく。――。
そんなSF映画でおなじみの人工的な冬眠が、日本の研究で一歩実現に近づいているんです。
えー!現実になりそうなんですか?人工冬眠が?
気になるでしょ?
はーい!(*゚▽゚*)
未来への扉を開ける夢の技術ですけれども、
はい。
一方で、社会や人間関係を大きく変えてしまうかもしれません。
実は、マウスの実験から、脳には冬眠のカギとなるスイッチのようなものが見つかったそうなんです。
はい。
居眠りしそうな時、ほっぺたや手をつねって眠気を払う人って多いですよね。
うーん。
ところが、筑波大などの研究チームは、マウスの脳の一部を刺激することで、逆に冬眠のような状態に導くことに成功して、
はい。
6月に英科学誌ネイチャーで発表したんです。
えー。まさに冬眠のスイッチを入れるような感じですよね?
論文によると、35度以上だった体温は約25度で安定して、心拍数も約4分の1に減るなど、冬眠中の動物に似た状態となったそうなんです。
はい。
そして、脳を刺激する薬の効果が切れると自然に目覚めて、健康にも異常はなかったそうなんです
はい。
そしてその冬眠へといざなうスイッチのような脳神経は、なんと人にもあるそうなんです。
へー!Σ(゚∀゚*)
研究を主導した筑波大の桜井武教授は「人に応用できれば、様々な分野に革命的な進歩をもたらすだろう」
はい。
「30年後の実現可能性は50%以上ある」と話しているんです
そんなにあるんだ。アハハハ(笑)。人間も冬眠が可能になったとしたら、どんなことができるようになるんですかね?
ええ、たとえば応用が最も期待されるのは医療医学ですね。たとえば、頭に大けがをした人や、血管が詰まって脳が酸素不足に陥った人の体温を32~34度に下げて
はい。
脳の損傷の進行を抑える「低体温療法」は既に実現していますけれども、
ええ。
人工冬眠で体温や体の機能をさらに抑えられれば、救命率がぐんと上がると考えられています。
はーい。
またですね、あの天才無免許医のブラックジャックが活躍する手塚治虫の漫画には、難病に苦しんでいる青年の妻に、旧ソ連で極秘に開発されたという人工冬眠装置を勧めて
はい。
難病の患者を未来の医療に託すというエピソードがあるんですけれども
はい。
そんなことも現実に可能になるかもしれません。
うーん。医療への応用は期待が大きそうということなんですね。
そうなんです。
他にはどんな活用ができそうなんですか?
他にもですね、たとえば冬眠をしている間に、到着に何十年もかかる遠い宇宙への旅が可能になります。
はーい。
アメリカではですね、鼻から冷却剤を入れて
ええ。
冬眠状態にする研究に、NASA(=アメリカ航空宇宙局)などが大まじめに取り組んでいるそうなんです。
すごいですね。
ちょっと、鼻痛そうですけどね(笑)
ハハハ(笑)
また身近な分野では「瞑想」への応用も考えられます。
はーい。
冬眠で脳が安らいで、精神的な安定をもたらす効果があるかもしれないそうで、
ええ。
確かに仕事でストレスを感じたときに、しばらく冬眠したらすっきりしそうな感じはしますよね。
いやあ、それが実現したらすごいなと思いますけれども、さすがに実現するにはいろいろ課題もありそうですよね。
そうなんです。まだまだ研究途上ですから、
はーい。
人間の場合は、低体温が長く続くと細胞や組織が傷んだり、心臓が止まったりして死んでしまいます。
はい。
じゃ、一部の動物は無事に冬眠できるのか
うーん!(`・Д・´)
というのは謎でして、
謎なんですね?
冬眠に詳しい北海道大学の山口良文教授は「細胞が死なない理由や、冬眠と覚醒をどう切り替えているのかはよく分かっていない」と説明しているんです。
そうなんですねー。冬眠のしかたっていうのは動物によって違うものなんですか?
そのようなんです。寒くて餌が少ない冬を省エネで乗り切るための冬眠の仕方。
はい。
動物によって大きく違うんです。たとえば、ツキノワグマは冬眠中、体温30度台を維持して出産・授乳までするんです。ところが、何か月間も飲まず食わずのままで過ごして、排せつもしない。しかもその間、筋肉はほとんど衰えないそうで、
すごいな。(^o^;)
こうした優れた機能の解明を目指す研究が進んでます。
はい。
ところで自然階の冬眠って数か月ですけれども、もし人口冬眠が実現して、ほんとに何年も何も食べなくて大丈夫か?っていう疑問もあります。
確かにそうですよねー。ものすごくお腹すきそうですよね。
そうですよね(笑)
フフフ(笑)
ところがその点、興味深い生き物もいるんです。
はーい。
例えば、深海にすむダンゴムシの仲間「ダイオウグソクムシ」は
はい。
水族館で飼育中になんと5年以上も絶食して話題となりました。
はーい。
また、ヨーロッパの洞窟にすむイモリの一種は、およそ10年も餌を食べずに生きるそうです。
うーん。
どっちも暗く冷たい環境で過ごすという共通点があるそうなんです。
暗くて冷たい環境というのが冬眠に適した、いい環境なのかもしれないですね。
そうかもしれません。ただ技術が進んで、人も冷たいカプセルの中で永く生きられようになれば、また新たな課題が出てきそうなんです。
はい。
たとえばですよ、
ええ。
年齢と若さがちぐはぐになってしまって
まあ、そりゃそうですよねー!
兄弟や夫婦、親子でさえ若さが逆転するかもしれません。
はい。
さらに人間関係が一変しますから、生命保険とか定年、老齢年金、高齢者福祉など年齢に伴う制度の根幹が崩れてしまい
うーん。
社会が様変わりすることもありえます。
たしかにその年齢に対する概念とかも変わりそうですよね。
そうです。
すごい技術ですけれども、実現したらなんだか大変なことになりそうですよね。
さきほどの漫画のブラックジャックも、若い姿のまま人工冬眠する夫の回復を見ないで、老いて死ぬかも、と告げられた妻が
はい。
夫と一緒に人工冬眠装置で眠るという場面で終わっているんですけれども、
ええええ。
未来に目覚めた2人はどんな世の中を見ることになるのか。
人工冬眠の実現にはいろんな課題を超える必要がありそうです。
までもそのような漫画の世界で描かれていたそういう社会に、近づいて行っているというのが
そう!
面白いなと感じましたね。
でしょ?技術は進んでいるんですよ。
すごいですね!