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2020年08月25日放送
後払いお得?気早?「後払い」好き関西
読売新聞 8月8日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今回のテーマは「後払い」です。NEW門今月8日掲載の『せっかちだから?お得感を重視?…関西人は「後払い」がお好き』についてピックアップしてお伝えしていきます。
「後払い」というのは、料金の支払いのことですかね?
そうです。中でも今回は鉄道の自動改札機とか路線バスの運賃に関連したお話です。
はい。
かざすだけで運賃が支払える「交通系」と呼ばれるICカードには、たとえばJR東日本のSuica(スイカ)とか、主に首都圏の私鉄やバスのPASMO(パスモ)なんかがありますけれども
はい。
実は関西地方では、そんな運輸関係の料金や支払い方法で、なぜか「後払い方式(=ポストペイ)」が目立っているんです。
はい。(・o・)
これは、せっかちと言われる関西人の気質が理由という説もあるようなんです。
えーそうなんですね?
たとえば関西だとどんな交通系ICカードがあるんでしょうか?
はい。あの代表格でいうと、主に関西の私鉄とか地下鉄、バスの共通ICカード「PiTaPa(ピタパ)」というのがあります。
はい。
会員数はおよそ340万人いて、全国の主要な交通系ICカード10種類あるんですが、この中で唯一、後払い方式を採用しているんです。
へー。(*゚。゚)
電車などで利用した金額が、後日、金融機関の口座からまとめて引き落とされる。という仕組みになっています。
なるほど。他の地域で使うときは、どうするんでしょうか?
はい。ピタパは、関西以外では前払い方式(=プリペイド)で使えるんですが、
へー!
注意も必要で
はい。
JR東日本や関東の主要私鉄の多くは、初乗り運賃以上の残高がないと自動改札機から入場できないんですね。
はい。
これに対して、JR西日本や関西の主な私鉄では、ピタパ以外のカードでも1円から10円の残高があれば問題なくて
ええ。
改札から出て全額を決済するので、それぐらい「後払い重視」と言えそうなんです。
えー。それは知らなかったですねー。
うーん。
大学時代に電車で通っていてあのパスモ使ってたんですけど、チャージがなくて「ピー!」って止められるっていうのがけっこうあったので
ふふふふ。初乗り運賃以上ないとね?
そうなんですよー。
それが関西は違うと。
へー。地域差があるというのもおもしろいですね。
ええ。2004年のピタパを導入した時に責任者を務めた横江友則さんによりますと、
はい。
後払いの採用というのは、関西人の気質と深い関係があるそうなんです。
はーい。
それはというと、仮にですよ?前払いにした場合、残高が不足したお客さんは精算機に並んでチャージすることが必要ですけれども
そうですね。
「関西人はせっかちで、特に急ぐ通勤通学の時は苦情が相次ぐはず」と懸念をしたそうなんです。
へー!そういう理由で後払いが主流なんですか?
ええ。横江さんは、利用者の満足度を高めるには「お得」と実感してもらう仕掛けも必要と考えて
はい。
この後払い方式なら、乗車回数に応じた事で、事後の割引とか、ポイント付与を充実させやすいということも理由のようです。
はい。
さらに関西での後払い重視っていうのは、鉄道に限らないんですね。
はい
大阪や京都、神戸市といった、主要都市の路線バスでは、乗車区間に関係ない「均一運賃」の路線であっても、
うーん!
乗るときじゃなくて、降りるときに支払うことが多くなっているんです。
へー!Σ(-∀-;)
関東地方だとね、均一運賃のバス路線っていうは乗車る時に払う前払いが目立っていますよね。
均一運賃のときにでも、後払いが目立つというのはなぜなんですかね?
実は、前払いの方が乗客が降りるのに時間がかからないので、運行に遅れが生じにくいとされているんですが、関西のバス業界にはトラウマがあるそうなんです。
ほー。(-ω- )
1951年、当時の大阪市交通局は均一運賃の一部の路線で、前払い方式に変更したんですが、その後、元に戻しているんです。
あ。そうなんですね?
日本バス友の会・関西支部長を40年務める中尾晋也さんによると、乗客からですよ?「サービス終了前に払うのはおかしい」とか「お上意識を感じる」といった苦情が出たとみられるそうなんです。
そうなんですか? そういう感覚になるんですねー。
後払いってかなり前から続いているものなんでしょうかねー?
これがですね、後払いの歴史というのは少なくとも江戸時代まで遡るんです。
はい。
食材とか物を売るときに、なじみの客にはその場では代金を受け取らないで、
はい。
盆暮れの年2回、ツケを回収する「掛け売り」が一般的でした。
はい。
大阪で生まれ育った中尾さんは、「商業取引の活発の商都だった大阪は、食事でも何でも後払いとの意識がいまだに定着しているのでは」と考えているそうです。
へー。なるほどー。ところで、この交通系ICカードって、最近は、運賃だけではなくてお店などでも、電子マネーとして使えたりとかすごく便利ですけれども、この方式による違いとかはあるんですかねー?
その影響かもしれないんですが、ジェーシービーがおととしに行った調査によると、関西圏の電子マネー利用率は63.0%となっていて、首都圏に比べて16.6ポイント低いんです。
ふーん。
全国平均の70.3%にさえ及んでいません。
はい。
関西のピタパは、セブン―イレブンとかローソンの大部分の店舗でシステムが非対応のため、使えない影響というのもあるようなです。
そうなんですねー。難しい課題ですねえ。
ちなみにキャッシュレスサービスの代表格のクレジットカードは、後払い方式ですから、「もっと関西で利用されていいはずだ」と思いきや、カード会社の幹部によると、お店側には販売額の3%から5%前後の決済手数料が課せられるので
はーい。
お店側にしてみるとですよ?「その分、値下げした方がお客さんにもお得だと考える商店主らの抵抗感が強い」そうなんです。
へー。単純に後払いだからいいってわけでもないってことなんですね。
でもそんな支払い方式を巡って、変化の兆しというのも見え始めています。
はい。
たとえば、京都市バスは、昨年の春、半世紀続いた後払い方式を見直して、均一運賃のおよそ60の路線で、前払いへの切り替えを段階的に始めました。
はい。
3年前に実証実験を行ったところ、「混雑が解消した」と予想以上に好評だったそうなんです。
へー。前払いでも受け入れられるケースもあるんですね。
はい。だから結果的には、関西では前払い、後払いに関係なく、お得感とか意義をどう打ち出すかというのがカギと言えるかもしれません。
はーい。そういう地域による感覚の差があるっていうのは初めて知りましたし、おもしろいなと感じましたね。
そうですね。