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2020年08月04日放送
外来種日本の「優等生」海外で問題児
読売新聞 7月12日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今日は「外来種」に関連した内容です。NEW門先月12日掲載の『日本の「優等生」海外で問題児』についてピックアップしてお伝えします。
はい。気になるタイトルですけれども、今日は「外来種」の話ですか?
そうです。外来種は国外から入ってくる動物、虫、植物などの生物で、人に危害を加えたりとか、作物を食い荒らしたり、電線をかじって被害を及ぼしたり、生態系を乱したり、外来種の脅威というのはさまざまです。
はい。
さらに他の生物の存在も脅かしていて、国内の絶滅危惧種のうち爬虫(はちゅう)類の7割以上、両生類の5割以上の減少に、この外来種が関わっているという報告もあるんです。
そうなんですね。かなり困った存在ということなんですねー。
そうなんですよ、そんな問題を引き起こす外来種を、国は外来生物法に基づく「特定外来生物」に指定して、飼育とか輸入などを規制したり駆除を行っています。
はい。
対象は、人や物の移動が盛んになった明治期以降に入り込んだ生物で、2005年度の85種類から年々増えていまして、
はい。
2019年度には148種類に達しました。なかには、ペットが野生化したという種類も少なくないそうなんです。
そうなんですねー。近年でも、結構増えているわけなんですね。
はい。一方、国際自然保護連合(IUCN)は「世界の侵略的外来種ワースト100」として、特に生態系や人への影響が深刻な生物を公表しています。
はい。
そこには、「ミシシッピアカミミガメ」いわゆる「ミドリガメ」とか「コイ」などのなじみ深い名前があるほかに、ブラックバスやヒアリは、特定外来生物とワースト100の両方に選ばれています。
はい。ヒアリはニュースでもたびたび耳にしますよね。
そうですね。あの刺されると焼けるように痛い外来種のヒアリは、
はい。
今年の春以降も相次いで見つかっています。ヒアリは2017年に日本で初めて兵庫県尼崎市で見つかってから、各地で発見が相次いでいて、外来種としては新参者ながらもすっかり有名になっています。6月には東京港で200匹以上、千葉港で1000匹以上が確認されています。
はい。
環境省などは全国の港や空港で見回りを増やして、より効果的な駆除剤に切り替えるなど、定着防止に躍起になっています。
すっかり悪いイメージがありますよね。
そうですよね。その攻撃性から敵なしな印象もあるんですけど
ええ。
実はヒアリ、故郷の南米では他のアリにジャングルを追われ、川沿いでひっそりと暮らしているそうです。
そうなんですね。ヽ(゚Д゚;)ノ
外来種に詳しい国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室の五箇(ごか)公一室長は、「転校先で番長にのし上がった元いじめられっ子」と例えています。
あーそうなんですねー。故郷でのイメージとは一変してしまうわけですね。
はい。そんな招かれざる来訪者に日本はいつも手を焼いてばかりですけれども、
はい。
実は海外からは「お互いさまだ」と言われかねない状況というのもあるんです。
ほー。
「番長」になるのは、海外の生物だけじゃなくて、日本のいわばクラスの人気者や優等生が、海外で番長になってしまったという例もあるんです。
つまり、日本でいいイメージの生物が、海外でよくない存在になっているってことですか?
そうなんですよ。たとえば、日本ではみそ汁の具として欠かせないワカメ。
ワカメ。
日本や朝鮮半島の近海に分布する海藻ですけれども、
はい。
船に取り込む海水に紛れ込んだ胞子が欧米へ運ばれて大繁殖しているんです。
はーい。
わかめを食べる習慣のない海外では、養殖や漁具などに損害を与える厄介者で、国際自然保護連合(IUCN)が選ぶ「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれてしまっています。
そうなんですね? 海外ではワカメが迷惑になってしまっているってことなんですね
そう、外来種としてね。
へー。
江戸時代の日本に西洋医学を伝えたドイツ人医師・シーボルトがドイツに持ち帰ったことで知られる春の山菜イタドリも、ヨーロッパで急増して、今では侵略者扱いだそうです。
さらに、万葉の昔から和歌に詠まれ、生薬や食用としても重宝されてきたクズ。
はい。
クズも19世紀に園芸用などで北米に持ち込まれて、爆発的に広がりました。
はい。
クズは、地域の植生を変えたりとか、送電線にツルを巻き付けるなどの被害を与え、駆除対象になっています。
日本では秋の七草に数えられていますが、現地ではそんな風情もまったくなく、「グリーンモンスター」と呼ばれているという。
あーそうなんですね。イタドリもクズも海外ではひどい言われようなわけですね。
まさに海外で問題児なわけですね。
ただ、外来種が軒並み悪者というわけではない。イネは縄文時代に大から持ち込まれたとされていますし、欧米から輸入したセイヨウミツバチは、植物の授粉とか養蜂業に不可欠です。
はーい。
秋の彼岸の頃に咲くヒガンバナのように四季の移り変わりを感じさせる草花も、実は外来種なんです。
稲も彼岸花も外来種ということで、問題児ばかりではないんですね。
そうですね。環境省によりますと、国内の外来種は2000種を超えていまして、古くに持ち込まれ、既に日本の自然に溶け込んだものも多くあります。
なるほど。
担当者は「規制対象は、全体の1割にも満たない」と説明しています。
はい。
グローバル化が進む中で、国境をまたぐ人とか物の移動が増えて、世界はどんどん狭くなっている上に、地球温暖化の影響で、これまで繁殖に適していなかった日本でも、南方系の南の方の生物も増えそうです。
これはどう解決していけばいいんでしょうね。
ね。これ、国立環境研究所の五箇室長は「問題になる生物も、自ら好きこのんでやって来るわけではない。
はい。
人間のせいだと自覚し、日々の生活を見直してほしい
はい。
食料や製品の地産地消を心がけて、人や物の無駄な移動を減らすことが問題解決の第一歩だ」と強調をしています。
なるほど。ペットが野生化してしまう例などはまさに人間のせいですし、きちんと問題としてとらえることが大切になりますかねー。
そうですね。外来種も自ら外来種になりたくてなっているわけじゃない
ま、そりゃそうですよね。
人間の都合でね、運ばれていったりとか、その結果こういう風になっているということも、我々も考えなければいけないですね。
そうですね。