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2020年06月16日放送

宝石と科学

サファイアで解く 宇宙の謎

読売新聞 5月14日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今日は「宝石と科学」に関する内容なんです。ニュー門先月14日掲載の「サファイアで解く 宇宙の謎」についてピックアップしてお伝えしていきます。

うーん。宝石のサファイアで宇宙の謎が解けるんですか?

はい。今回はそんなお話です。

ダイヤモンド、ルビーなど、鮮やかな輝きで人々を魅了する宝石。
宇宙・地球の謎解きなど、最先端科学の陰の立役者でもあるんです。

はい

例えば、岐阜県飛騨市の山の中で今年2月に本格稼働した、宇宙から届く時空のさざ波「重力波」を観測する巨大な装置「かぐら(KAGRA)」を観測を支えるのは、巨大なサファイアなんです。

えー。そんな最先端の科学を支えるのに、宝石がベストなんですかね。

そうなんですよ。
宝石がとても硬いことがひとつの理由なんです。

あーなるほどー。

これには原子レベルの構造に秘密がありまして

ええ

例えばダイヤモンドは炭素原子、サファイアやルビーは酸化アルミニウムが規則正しく並んで、互いに強く結びついた結晶です。

はい。

それなので、傷がつきにくくて、ずっと美しいわけで、この特質は実は現代の科学にも大きな魅力なんです。

そうなんですねー。ところで「かぐら」っていうのはどんな装置なんでしょうか?

はい。宇宙からの重力波をキャッチするこのかぐらは重力波が通り過ぎると生じる「数百兆分の1から10京(けい)分の1ミリ程度」という

うーんΣ(ОД○*)

ほんとわずかな時空のゆがみを、長さ3キロ・メートルもの真空パイプの伸び縮みで観測するものです。

はい。

ものすごく小さな歪みをものすごく大きな装置でキャッチする感じですね。

その装置のどこにサファイアが使われているんですか?

はい。それがですね。装置の心臓部に、

ええ。

直径22センチの、巨大な人口サファイア製の鏡があるんです。

へー。(*゜0゜)

この鏡で、レーザー光を何度も反射させて、光のずれた瞬間をとらえるそうなんです。

難しいですね。
そんなわずかな変化をとらえる装置だということなんですね。

そうなんです。

そこで、宝石の硬さが生きるということなんですか。

そこなんです。実は、結晶中の原子は、熱によって肉眼では見えないレベルで常に震えているそうなんですが、

へー。

精密な観測だと、この震えが邪魔になるんです。

はい

ところが、硬いサファイアは熱による震えが大きくなりにくいうえ、マイナス253度でほぼ震えなくなるので、観測の条件が良くなるんです。

震えを抑えるのにこの宝石がベストだということなんですね。

はい。かぐらの計画当初から関わっている東京大学の黒田和明名誉教授は、「サファイアはベストの材料だった」と話しているんです。

へー。すごいですねー。ちなみにこのサファイア以外の宝石も

うん

そんな研究に役立っているんですかね。

たとえば、地球で最も硬いダイヤ。ダイヤモンドも研究で存分に生かされています。

はい。(゜▽゜*)

たとえば地球の中心部分というのは、とんでもない高い圧力になっていて
実験で作るのは難しかったんですけれども

はい

東京工業大学の広瀬敬教授は、富士山形にカットしたダイヤモンドを手にして、「これで地球内部の超高圧状態を再現できる」と語って

ええ。

頂上を合わせるように2個を重ねて圧力を加え、
2010年に世界で初めて地球中心部の364万気圧を達成しました。

へえー。(゚Д゚ノ)ノ

そして、地球の最も深い最深部の、鉄の結晶構造を明らかにしたんです。

なるほどー。ダイヤの硬さがあってこそということなんですね。

そうなんです。宝石の輝きも活用されています。

はい。

2013年11月、59.60カラットの大粒のピンクダイヤが、競売で史上最高の8300万ドル余りの値段がついて話題になりました。

はい。

ピンクなど様々な色に輝くのは、ダイヤの結晶に金属などの不純物が混じっているからなんですが、

はい。

研究者が今、熱い視線を送っているは、赤く輝くダイヤなんです

へー、赤もあるんですねー。

この赤く輝くダイヤは、結晶中に窒素が混じっていて、

はい

その隣に炭素が抜けた「穴」がある構造をしていて、光を当てると赤く輝きます。

はい

この構造、温度や磁場にも反応して、その変化に合わせて輝く強さが変わるそうなんです。

これを、どんなふうに活用するんですか?

例えば、細胞のがん化の様子を観察したりとか、電気自動車の電池の状態をチェックしたりする、高性能なセンサーに応用できる可能性があるそうなんです。

はい。

なにはともわれ、宝飾品でも研究用でも宝石は希少なものです。

宝石は地球内部の特殊な環境でマグマなどがゆっくり冷えてできた鉱物で、これをまねて高熱で溶かした原料を徐々に冷やすなどして人工的に作れるんですが

うーん

簡単ではないんですね。

だからこそ、宝石は貴重なんですもんね。

はーい。

研究に必要な宝石を用意するのは大変ですよね。

かぐらのサファイアほどの巨大宝石は作るのも加工も大変ですけども、研究者は意外な用途を「発見」して、難題を解決したそうです。

何に使われていたんですか?

そんな、でっかいサファイア?

はい。(o・ω・o)

実は弾丸から身を守る「戦車の窓」に使われていたそうで、製造元のアメリカの会社などに特注をしたそうです。

はい。

ちなみに宝石といえばなんですが、電圧をかけると振動する水晶がクォーツ時計に使われていたり、パソコンの電気信号にも使われています。
熱に強く安定しているサファイアがLEDの基盤に使われていたり、

うーん

レーザーの光を増幅させる装置にルビーが使われていたり

はい

実は色んな所で私たちの日常生活を支えてくれています。
改めて色んなシーンで活用されている、宝石に目を向けてみるのも面白いと思います。

私たちの身の回りの様々なところでほんとに活用されているんですね。

結構身近な物に宝石が入っていて、そこで頑張っているということですね。

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