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2020年05月05日放送

女性と相続

「妻」に優しく 民法の進化論

読売新聞 4月14日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今日は「女性と相続」に関する内容です。「ニュー門先月」14日掲載の 『「妻」に優しく 民法の進化論』についてピックアップしてお伝えしていきます。

はい。相続って誰かが亡くなったあとに、財産などを引き継ぐものですよね?

そうです。
先月に施行された「改正民放」いわゆる相続法では、配偶者の亡くなった後に、残された側の住まいを確保するための制度ができました。

はい。

この制度の恩恵を受けるのは、多くが妻で、相続法改正の歴史は、家庭内で軽んじられてきた女性の権利の擁護と強化の積み重ねとも言えそうなんです。

そうなんですね。
確かに住み慣れた家にいきなり住めなくなってしまったら悲しいですよね。

そうですね。例えば、夫が亡くなって自宅をどうするか迷っている80代の女性がいるとします。

はい。

この女性は自宅には住みたいけれど折り合いの悪い長女がいたとして、

うーん。(-ω-;)

もしも女性が家を相続すると、その家の価値の分、折り合いの悪い長女に預金などが多くいってしまって

ええ

老後のお金が心配になります。

かといって、家を長女に譲ると、今のまま住ませてくれるかどうかわからない。

はーい。((((;゚Д゚))))

こんな悩みが老後にありがちですね。

自宅を相続すると、現金の相続分が減ってしまう。かといって、自宅を他の人が相続すると、自分がそこに住めるかどうか不安。ということなんですね。

そこなんです。亡くなった夫の財産が、仮にですよ?
自宅の価値が2000万円分。

はい。

預貯金・現金が2000万円の場合

はい。

夫の財産を妻と子供で、法定相続分、要はルール通りに相続をすると、これまでの場合、
妻が自宅をとると、預貯金は子供に全額回る計算になりました。

うーん。
それでは、家には住めてもお金が足りなくなって困ってしまいそうですね。

はい。そんな点に対処したのが、先月からのこの新しい制度です。

はい。

法律の改正で、自宅の建物を配偶者が死ぬまで利用できる「配偶者居住権」という権利と、「配偶者以外が所有する権利」に分けられるようになったんです。

この「配偶者居住権」を選ぶと、どんなメリットがあるんでしょうか?

妻がこの「配偶者居住権」を選ぶと、自宅の建物は子供の所有となるんですけども、

はい。

その家に住み続ける権利を得られる上に、
預貯金・現金も、妻が自宅を取る場合より多く相続できるんです。

はい。

この制度に詳しい麻生興太郎弁護士は、「改正前より、妻は多額の預貯金を手にでき、老後の安心感が高まる」とメリットを説明しています。

うまく活用するとよさそうな制度ですよね。

そうですよね。

それにしても、これまで大変な思いをした家庭の女性も少なくないかもしれませんよね。

そうなんです。今回は、家庭の女性への配慮が見られる法改正なんですけど、

はい。

実は、女性に対して法律は、長らく冷たかった一面がありまして、

ええ。

その大きな理由は、戦前の「家制度」にあるんです。

うーん。(。-`ω´-)

1898年・明治31年から翌年まで、新聞に連載をされた、あの徳冨蘆花の小説「不如帰」。

はい。

有名ですけれども、この主人公の浪子は、夫の武男と相思相愛だったのに、

うん。

肺結核を患ってしまい、武男の母親に離婚させられます。

はい。

死の直前、浪子は
 「ああ辛い! 辛い! もう――もう婦人(おんな)なんぞに――生(うま)れはしませんよ」と叫んでいるんですが、

はーい。

かつての家制度では、誰もがどこかの家に属して、戸主が家を継承することが重視されていたことが背景にあります。

家のために離婚させられてしまったってことなんですね。

そうなんです。
この戸主の武男が離婚を渋る場面では、
母親が「妻と家のどちらが大事か」と責めているんですけど

はい(>_<)

当時の女性の地位は低くて、
結婚は妻が夫の戸籍に入ることを示して、子供のいる妻には相続権がなかったんです。

こうした制度を法律で定めたのが「不如帰」の連載開始と同じ1898年施行の「明治民法」です。

当時の女性は今以上に苦悩を抱えていたでしょうね。

そのようですね。しかしそんな状況が戦後に一変します。
1948年に施行された新しい民法で家制度が廃止されて、

はい

「配偶者相続権」が確立されました。

はい

さらに、1981年施行の民放では配偶者の法廷相続分の引き上げが実現して、
今回の改定で、妻・配偶者はさらに強化された形になります。

家庭での女性の地位が確保されるようになってきたということなんですね。

ただ、一方でまだ課題もあるようなんです。

はい

家族法に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は「事実婚や同性婚の配偶者は依然として適用の対象外。

はい。

家族が多様化する中、それに合わせ改正が求められる」と指摘しているんです。

あーなるほどー。

さらに相続にとどまらずに女性の社会進出も課題です。

はい

スイスの民間研究機関「世界経済フォーラム」の2019年版男女平等度ランキングというものがあるんですが、

はい

日本は153か国中、121位に沈んでいます。

そうなんですね。( ゜o゜!)

ええ。

まだまだ解決すべき課題は色々ありそうですけれども、
そんな中での今回の相続法の改正というのは一歩前進と言えそうなんですか?

そう言えるかもしれません。ちなみに今回の相続法改正では、
配偶者に配慮した制度がもう一つありまして、

ええ

これは去年7月に施行された「特別寄与制度」というのがあります。

ほー。「特別寄与」というのは、特別に役立つことをした人への制度っていうことなんですか?

特別に寄与した人への制度ですね。
例えば、夫の親の世話や介護を妻が担うケース。

あーはい。(・∀・*)

がありますけれども、
その親が亡くなっても、妻は原則として相続財産の分配にあずかれません。

はい

それを新しい制度では、相続人でない親族でも、介護などで特別の寄与をした場合

うーん

それに応じた金銭を請求できるようにしました。

はい

なおその金額は当時者同士が決めるのが原則になっていて、
合意ができない場合は、家庭裁判所の判断となります。

はい。

「介護したのは私だけなのに、なんで相続では仲間外れ?」

うーん(´;ω;`)

といった不公平感は和らぎそうですよね。

なるほど。
相続などの法律にも「男女の平等度」っていうのが深くかかわっているっていうのを改めて感じましたし

それがね、さらに平等なのが進んでいくといいなと個人的には思ったりしますね。

そうですね。

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