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2021年03月16日放送

ネット投票

コロナで「密」気になる・投票所減少…ネット投票なぜできない?

読売新聞2月17日掲載

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ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)

この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる。ラジオ版NEW門ニュースの門です。
さあ、今回のテーマは「ネット投票」です。NEW門先月17日掲載の『コロナで「密」気になる・投票所減少…ネット投票なぜできない?』についてピックアップしてお伝えしていきます。

選挙のためとはいえ、コロナ禍で人の集まる投票所に行くのは抵抗があるという方もいるでしょうね?

そうですね。新型コロナの感染拡大で、選挙への国民の意識が変化し始めてきたことが、自宅でも投票できるインターネット投票の実現に向けた追い風となるのか。という話題です。

はい。

読売新聞の大阪版で、去年5月掲載された投書には、「外出自粛を求めながら投票に行けというのは矛盾」という内容があって、「密」や他人との「接触」が気になるコロナ時代に、投票所でしか投票できないことが、選挙離れの一因と指摘されました。

なるほど。確かに1票を入れるためには投票所に足を運ぶ必要がありますもんね。

そうですね。さらに、近年は全国的に投票所の数が減っているんです。
これは過疎化とか、市町村合併によるもので、投票所が遠くなって、高齢者が行けなくなったとの声もあるんです。

はい。

今年1月の読売新聞には、地方選挙での低い投票率を嘆いて、対策として「インターネット投票の導入」などを求める投書も載りました。

この、「インターネット投票」ってできるものなんでしょうか?

はい。海外ではバルト3国の一つ、エストニアが導入済みで、期日前投票に限定をしているんですけれども、国民に定着しつつあるそうなんです。

はい。

そして、ここ日本での導入も検討が始まっています。総務省の有識者研究会が、2018年8月にまとめた報告書では、まず、海外に住んでいる日本人による在外投票からの利用を提言していまして、「技術・運用面の大きな課題はクリアできる」としています。

はい。

さらに政府は去年2月、一部の地域で実証実験も行いました。

ネット投票の実現に向けては、どのようなところがポイントになるんでしょうか?

これね、投票したのが本人であることを確認する方法がポイントになりそうなんです。政府は、マイナンバーカードのICチップに組み込まれた電子証明書を、個人のスマートフォンとかパソコンで読み取る方式を想定していまして、投票データを暗号化して、ハッキングなどによる改ざんを防ごうとしています。

なるほど。いっぺんにたくさんの人が投票しても、きちんと処理できるものなんでしょうか?

これ実は、それには実績がありまして、アイドルグループ「AKB48」の新曲メンバーを、ファンがネット投票で決める「選抜総選挙」で、2015年選挙の投票総数、およそ328万票に上ったんですけれども、システムのトラブルはなかったそうです。

はい。

サーバーの事前の負荷テストでは、1秒間に1000票の入力に耐えたそうで、これ、1日に換算すると、8640万票に耐えられる計算になります。

はい。

日本の有権者はおよそ1億人なので、サーバーの能力は実用レベルといってよさそうなんです。

へー。そうなんですね。意外なところで、このサーバー能力の実績が示されているわけですね。

そうなんですよ。ただし、システムで言えば、高齢者でも投票しやすい「使い勝手」が最も重要かもしれません。

はい。

投票システムの開発などを手がける「VOTE FOR」社の市ノ澤充社長は「投票画面を工夫すれば、エレベーターのボタン程度の簡単なものにできる」と力説をしているんです。

はい。ネット投票の導入時期については、いかがでしょうか?

ネット投票は、技術的には実現可能な段階に入ってきているようなんです。
一方で、総務省の研究会メンバーので、情報セキュリティ大学院大学の湯浅墾道(はるみち)教授(選挙制度)は「日本では、ネット投票で冒険するより、現在の投票用紙による投票のほうが安心だという意識が根強い」とみているんです。

そうなんですね。たしかに選挙ではミスやトラブルを極力避けたいものですもんね。

そうですよね。ただ、自治体の選挙事務について、気になるデータもあるんです。

はい。

国政選でのミス・問題行為が増加傾向で、2019年の参院選では、あわせて200件と過去最多だったんです。「自治体で、選挙の実務に精通した職員が退職をして、ノウハウの引き継ぎも不十分だ」という見方があるんです。

そうなんですねー。では「これまでのやり方だから大丈夫」というわけでもなさそうですね?

そうなんですよ。選挙は民主主義の根幹、根っこと言えるだけに、インターネット投票でも安全性については徹底的な検証が必要ですけれど、投票用紙による投票は、今後も安心で最適なのか。この点も絶え間なく点検をしていくことが大切になりそうです。

そうですねー。

ところでネット投票とは別に「電子投票」というものもあって、こっちの方は投票所に足を運ぶ必要はあるんですけれども、投票用紙は使わず、専用端末のタッチパネルで、候補者名に触れて投票します。

ネット投票と今の投票の中間っていう感じですかね?

そんな感じですね。地方選挙で電子投票を認める法律が2001年に成立して、翌年、岡山県新見市で行われた市長選、市議選では、開票作業がわずか25分で終わって、全国に普及するかに見えました。

えぇえぇ。

しかし、2003年7月の岐阜県可児市議選で、サーバーが不安定になって投票ができないなどのトラブルが発生して、電子投票から撤退する自治体が相次いだんです。

そうなんですね。

日本大学の岩崎正洋教授(政治学)は、「地方選の電子投票は、技術的にも時期尚早だった。マイナンバーカードが整備されたいま、ネット投票の前の段階として、改めて電子投票を普及させるという選択肢がないわけではない」と語っていて、電子投票の動きも今後注目したいところです。

そうですねー。この新型コロナウイルスの影響で様々な分野でのこのシステムの変化だったりとか、改めて見直すという動きが出ていますよね?

それが、この投票にもね、現れているということのようですね。

今後の動きも注目したいところですね。

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