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2021年02月23日放送
硬貨1円玉は損なのか、500枚預けても預金額は「0円」…手数料の仕組み
読売新聞2月13日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
この門を開けばニュースの世界がくっきり見えてくる。ラジオ版NEW門ニュースの門です。さあ、今回のテーマは「硬貨」コインのお話です。NEW門今月13日掲載の『1円玉は損なのか、500枚預けても預金額は「0円」』…手数料の仕組み』についてピックアップしてお伝えします。
1円玉を500枚預けても、預金額が0円?ってどういうことなんでしょうか?
これはですね、最近、金融機関の窓口で、大量の硬貨、コインを預けるときに、手数料を課すケースが急速に増えているためなんです。
はい。
この手数料は、1円玉とか100円玉といった硬貨の種類は関係なしに、「101~500枚で550円」というのが平均的な相場となっています。
はい。
つまりですよ?大量の1円玉を預けても、全部が手数料に取られてしまうので、「1円玉は持つだけ損」という状況になりかねない。というお話なんです。
そうなんですね?
となると、お店なども1円玉を多く持っていると大変かもしれないですよね?
はい。これすでに、その影響も出ているようで、たとえば東京都内のある駄菓子屋さんでは「当店は1円玉の利用はできません」。という張り紙を出しているんです。
はい!
はい。これですね、このお店の来店客の半数は近所の小学生で、以前は1円玉を握りしめて来る子供も多かったそうなんですが、店主の男性は、「1円玉で支払いを受ければ商売にならない。背に腹は代えられない」と肩を落としているんです。
うーん。
これ駄菓子屋の辛いところは、硬貨を金融機関に入金するときの手数料です。
多くの金融機関では、現金自動預け払い機(ATM)での硬貨受け入れを1回あたり100枚までとしていまして、100枚まではATMでも窓口でも手数料は無料となっています。
ところが、100枚を超えると、窓口に持ち込む必要があって、その時の手数料が500枚までは「550円」、その後は500枚増えるごとに「550円」ずつ上がるケースが多いそうなんです。
そうなんですねー。
手数料は硬貨の種類は関係なく、枚数で決まるんですか?
そうなんですよ、これ、1円玉でも500円玉でも同じ1枚と数えられて、数千枚とか、数万枚の1円玉を持ち込んでも、手数料の方が高くなってしまって、口座への入金額は「0円」となってしまいます。
はい。
10円玉だけ500枚入金する時でも11%分に相当する550円の手数料がかかるので、薄利多売の駄菓子屋さんをはじめ、小銭を多く扱うゲームセンターとか、あるいは、さい銭を受け入れるお寺とか神社にとっても深刻な問題といえそうなんです。
そっか。小銭を多く使っているお店などにとっては困った問題でもありますね。
はい。さらに、この影響、個人の預金者にも及ぶんです。
貯金箱に小銭をコツコツためる人も多いと思いますけれども、銀行窓口に一度に持ち込むとですよ?
ええ、ええ。
少なくない手数料として消えてしまうわけなんですね。
かといって銀行に預ける代わりにお買い物で1円玉とか5円玉を使い果たすことも大変です。
そうなんですね?お店でも使うのが難しい場合があるんですね?
そうなんですよ。20枚を超える同じ通貨による支払いというのは、お店側が支払いを拒否できる。受け取りを拒否できると法律で定められているからなんです。
そうなんですね?
までもきっと、金融機関の側にも、手数料をとる事情があるんですよね?
はい、これ金融機関側にも言い分があるんです。
硬貨に異物がまざっていないかどうかとか、時には手作業での確認が必要で、数百枚の硬貨でも20分はかかるそうです。ある大手銀行の担当者は「1円玉でも500円玉でも数える手間はほぼ同じ」と話していまして、手数料は一律にならざるを得ないそうなんです。
そっかー。
またですね、背景には、日本銀行が、2016年から、金融機関が日銀に預けている預金の金利をマイナスにするというマイナス金利政策を導入してから、金融機関の多くは経営が悪化しまして、窓口担当の行員というのも減っています。
はい。
ある地方銀行の幹部は「手間と費用を考えれば現在の手数料でも低すぎ。できれば持ち込んでほしくない」と本音をもらしているんです。
そうなんですねー?
さらに、硬貨の受け渡しによるウイルス感染も不安視されるので、手数料をとることで「脱現金」というのを促す思惑もあるようです。
色んな事情があるんですねー。
そうなんですよ。
小銭の取り扱いを減らす工夫が、これから必要になってくるんでしょうか?
ええ。ところがですね、これが難しいケースもあるようなんです。
たとえばこの正月から富山市の越中稲荷神社では、さい銭箱の脇に、携帯電話スマートフォン用のQRコードを掲げまして、電子マネーでもお賽銭を受け入れるようにしたんですけれども
へー!
おさい銭額の99%は現金が占めたそうなんです。
宮司の山田方輝さんは「若い人も含め、なかなか慣習は変わらず、キャッシュレス化は時期尚早だ」と話しています。
たしかに、お賽銭、あの小銭で「ご縁があるように」って、5円玉を使ったりとか、現金で。っという人が多そうな気がしますね。
あれはね、「チャリン」と入れることでね、お賽銭を収めるみたいな、そういうイメージがあるかもしれませんよね?
そうですね。
一方で、硬貨が使われる機会が減ると、心配なこともあるようなんです。
はい。
実は、古くなったり、破損したりした硬貨が、金融機関の窓口やATMで入金されると、まとめて日銀に届けられて新しい硬貨に更新されているんです。
へー!
これがですよ?小額の硬貨になるほど金融機関に預けても損をする仕組みだと、この硬貨の更新サイクルがうまく回らなくなってしまう可能性もあるんです。
そうなんですね。
現在流通している1円玉というのは、374億枚あるそうで、国民1人当たりにすると、300枚弱ですけど、預けても損をする。買い物でも使い果たせないというままだと、1円玉が行き場がどうなるか心配ですよね。
そうですね。1円玉ないと困りますから、硬貨の更新サイクルがうまく回ってほしい気もしますね?
ちなみに金融機関では、多額の融資とか金融商品の取引をしている、いわゆる「上客」からは手数料を取らないことが多かったり、義援金とかチャリティー関連の募金、子供名義の口座への入金は無料としているケースもあるそうです。
はい。
一方で、大手銀行を中心に、ほかにも口座管理とか、紙の通帳発行など、新たな手数料がかかるケースも出てきていまして、預金者にとっては、低金利で利息がつかない中で、金融機関のサービスにそれなりの対価が求められる厳しい時代となっています。
また、新型コロナウイルスの影響もあって、急速にこの「キャッシュレス化」というのも進んでいる気がしますが、もちろん、現金、小銭、硬貨もなくなってしまうと困るものですし、なんとかそのサイクルを回せるといいな。と個人的には感じますけどね。
そうですね、硬貨、コインをめぐる環境、こんな風に変化している。という話題でした。