トイレ紙買い占め なぜ令和も
2021年02月02日放送
デマコロナのデマ、拡散させた「主犯」は?
読売新聞 1月13日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
この門を開けばニュースの世界がくっきり見えてくる。ラジオ版NEW門ニュースの門です。さあ、今回のテーマは「デマ」です。NEW門先月11日掲載の『コロナのデマ、拡散させた「主犯」は?』についてピックアップしてお伝えしていきます。
新型コロナウイルスに関連したデマ情報って、たしかに色々ありましたよね?
そうですね。インターネット上には多くのコロナ関連のデマやフェイクニュースが飛び交って、社会を混乱させました。
はい。
読売新聞社の全国世論調査では、23%が「ネットの偽情報を信じた」と答えたそうです。
はい。
そんなもはや身近な存在といえる偽の情報に、どう対処するべきか。という話題です。
総務省が昨年5月に実施したネット利用者調査からは、いろんな偽の情報が広まって、信じられたことがわかります。
はい。たとえばどのようなことでしょうか?
コロナ予防法で言うと、「こまめに水を飲む」に効果があると信じたのは、回答者の28.7%。「ニンニクを食べる」は14.8%。「納豆を食べる」が9.6%で、驚くのは、「漂白剤を飲む」という危険な嘘も3.1%が信じたそうなんです。
危険ですよね。それはね。
そうですよね。東京都内の63歳の女性もそんな偽の情報を信じた一人で、親戚からLINEで「ウイルスは耐熱性がなく36度、37度の温度で死滅します。より多くのお湯を飲んでください」というメッセージを受け取って、これを信じたそうです。
はい。
さらに「中国・武漢の研究者の話」とも書いてあったので、この女性は、さらに知人などおよそ15人に転送したんですが、その直後にうそだとわかったそうです。
なるほど。
この女性は「コロナ関連の確かな情報がほとんどない状態で、つい信用してしまった」と悔やんでいます。
ま、でも、結果的にそのデマを広げてしまったというのはちょっと怖いですよね。
そうですね。他にも例を挙げると、「緊急事態宣言が出たら、3週間ロックダウン(外出禁止)」という偽情報を信じた人が、15.5%。
はい。
「中国が『日本肺炎』という呼称を広めようとしている」という偽情報を信じた人も、28.8%もいたんです。
そうなんですねー。
ところで、これ、騙されやすい人の傾向みたいなものってあるんでしょうか?
はい。これがですね、読売新聞社が去年9月から10月に行った全国世論調査によりますと、偽の情報を信じた人は全体の23%で、男女や地域差はほぼなかったんですけれど
はい。
「ニュースを知るために主に利用するメディア」で、違いが見られました。
はい。
主に使うメディアを三つまで選ぶ質問で、「ツイッター、フェイスブックなど」のSNSを選んだ人の33%、「スマホなどで使うニュースアプリ」を挙げた人の30%が偽の情報を信じた経験があったそうです。
騙されてしまった割合が、全体平均よりも少し高めということなんですねー?
そうなんです。一方でニュースを知るために主に使うメディアが「新聞や放送」という人では、SNSの利用者よりも10ポイント程度低くなりました。
はい。
また、年代別だと、18歳から29歳の34%が偽情報を信じたことがあったそうです。
そうなんですねー。若い世代は、ネットに触れる機会が多いというのもありますしねー。
そうですねー。
ちなみに、このコロナ禍での偽の情報というのは、日本以外でも飛び交ったんでしょうか?
はい。たとえば、イギリスでは、次世代通信規格の「5G」の電波が、感染拡大の原因になっているというフェイクニュースが出回って、通信設備が放火されるという事件が相次いだんです。
うーん。
またイランでは、燃料用のアルコール「メタノール」を飲むと予防効果があるというデマを信じて、500人以上が中毒死したと報じられました。
大きな被害ですよね?
そうなんですよ。そんな偽の情報を短い期間に多くの人に拡散をさせた「主犯」は、やはり「SNS」のようなんです。ま実は、SNSには、それを裏付けるような特徴があるんです。
はい。
たとえばSNSには、考えの似た者同士が集まりやすくて、同じような情報に繰り返し触れやすいという「エコーチェンバー」作用というものが働くそうなんです。
はい。
また、検索履歴などから、自分好みの情報ばかり届く「フィルターバブル」作用もあるので、日頃から心地のいい、似た情報に慣らされてしまって、情報を疑うことが減ってしまうそうなんです。
気づかないうちにそうなっていたとしたらすごく怖いですし、気を付けたいな。と思いますね。
ね、怖いですよね。また偽の情報の修正も難しいという問題があります。
はい。
たとえば、去年、「トイレットペーパーが不足する」という情報が流れて、多くの人がSNSで「うそだ」と警告したけれども、
ええ。
この結果、否定をされるほどその考えを信じ込む「バックファイアー効果」というものが強まって、「大量の書き込みに不安を感じ、買う人が増える」という予想が広まって、あの買い占め騒動が起きてしまいました。
うーん。そんな偽情報に踊らされないためにはどうすればいいんでしょうか?
まずお約束ですけれど、まずは「無視」がベストですね。
はい。
偽の情報について政府は規制には慎重になっていまして、対応は個人任せになっているので、多くの専門家は、新聞や放送など、複数の情報源に当たるようアドバイスをしています。
はい。
また総務省の調査では、情報の内容が本物か偽物かわからなくても、「興味深かった」とか、「他人に役立つ情報だと思った」といった理由で、偽の情報を広めてしまったという回答も目立ったそうです。
SNSって情報共有、「シェア」が簡単にできてしまいますから、そのあたりは気を付けたいところですね。
ええ。「おもしろそうな情報は、反射的に他人と共有する人」が多いようです。
はい。
中央大学の松田美佐教授は、「すぐにSNSなどで情報を共有しようとせず、放置するのが一つの手だ。よかれと思って広めたとしても、偽情報なら免罪符にはならない」と指摘しています。
うーん。
ま、誰もが偽の情報の「共犯」にもなってしまいうるネット時代ですから、ネットで情報源が不明の不確かな情報に出会ったら、「まずは無視して放置」というのを新しいネットのマナーとする必要もあるかもしれません。
なるほど。ま、何か情報を集めるときだったりに、「SNSだけ」とか「〇〇だけ見て信じる」っていうのではなくて、他の複数のメディアとか情報源もチェックしてみるというのがこれからより大切になってきそうですよね。
そうですね、より冷静に対応するということが求められそうですね。