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2020年09月29日放送
日銀短観日銀短観 回収率99%の秘策
読売新聞 9月12日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今回のテーマは「日銀短観」です。NEW門今月12日掲載の「日銀短観 回収率99%の秘策」についてピックアップしてお伝えしていきます。
「日銀短観」って、あのニュースでもよく聞く言葉ですよね。
そうです。あの、日本銀行が年に4回、集計して公表している「短観」は、景気の良しあしを判断する上で、最も重要な経済指標の一つとされています。
はい。
短観の正式名称は、「全国企業短期経済観測調査」です。かつて日本興業銀行今のみずほ銀行が始めた「産業界の短期観測」というのを日銀が引き継いで、1957年に短観としてスタートしました。
はい。確か数値、指数が毎回出されていますよね?
はい。あの調査項目の中で、業況判断指数、DIって言いますけど、
はい。
このDIの注目度が高くなっています。DIは、最近の景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いたもので、実際業況判断DIは景気の山や谷を示す景気循環にほぼ沿った動きを見せるとされています。
はーい。
ところで、調査対象のおよそ1万社からの回収率なんですが
ええ。
毎回99%前後に達していて
へー。(・0・。)
この種の調査では際だって高くなっているんです。
ほぼすべてに近い解答を回収しているってことですか?
すごいでしょ?
はい。
そうなんです。
さらに、新型コロナウイルスの感染が拡大する中でもそれは変わらなったそうなんですが
はい。
その裏側には泥臭い努力があるようなんです。短観は、毎回、公表日の午前8時50分ごろに公表されますけれども、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁といえども、当日の朝までその内容を知ることはできないそうなんです。
そうなんですねー?
ある元幹部は「情報漏洩を防ぐ意味もあるが、前日まで回収を受け付けて集計作業を行うからだ」と理由を話しています。
そうなんですね!けっこうぎりぎりまで集計しているんですね。
そうなんですよ。調査表を発送して2週間後が回答の締め切り日で、さらに公表までの2週間の間に遅れて届いた分も結果に反映させるそうなんです。
はい。
この10年、短観の調査に協力している東京都内の不動産コンサルティング会社の石川和夫社長は、遅くとも締め切り日の1週間前には回答を済ませてきたそうで、
はい。
「短観は金融政策を左右し、日本経済に貢献する大切な調査。速やかに答えるのが対象者の義務だ」と話しているんです。
はい。
とはいっても、この石川社長のような経営者ばかりではありません。
はい。
毎回、約1万社のうち締め切り日に間に合うのは7割程度だそうで
はい。
日銀はその時点で、未回答の3000社前後に一斉に確認状を郵送して
ええ。
さらに調査担当の職員らがすべてに電話をかけて催促するそうです。
そうなんですねー?(´□`川)
で、この電話による念押しは回答が届くまで何度も繰り返されるそうです。
確かにそれなら回答率が上がりそうですねー。
ね。しかも回答が1社減れば、回収率は0.01ポイント低下する計算になります。
はい。
全国に数十人いる調査担当の職員は、それぞれ受け持ちの企業を割り振られるそうなんですが、
はい。
受け持ちの中から1社でも未回収が出ると肩身の狭い思いをするそうなんです。
あーそうなんですね。
短観担当だった元職員の鈴木卓実氏は「電話の相手に頭をぺこぺこ下げて拝み倒す勢いでやり、泥臭さは全くいとわない」と話しています。
すごい
それでも毎回、対象企業の休業とか倒産、合併などが原因で、1%程度の回収漏れが出てしまうそうです。
ほんとに大変なお仕事ですね。
ねー。
でもどうしてそこまで必死になるんでしょうか。
ねー。これ職員がそこまで必死に回収するのは、20近い調査項目によっては、1社の回答内容次第で、結果の方向性が逆になることがありうるからだそうなんです。
はーい。
鈴木さんは「調査精度を高めるには限りなく回収率100%が必要だ」と説明しています。
はい。
実は、こうした意識は企業側にも定着しているそうなんです。
はい。
新型コロナの感染が広がるなかで調査が行われた6月の短観では、在宅勤務や営業自粛となった対象企業も多かったので、「回収率が数ポイントは下がる」(関係者)と覚悟したそうなんですが、
ええ。
最終的には98.9%と普段と遜色ない水準となったんです。
はい。
日銀の審議委員として金融政策の決定に関わった野村総合研究所の木内登英さんは「回収率、精度の高さ、継続性の面で世界に誇れる」と話しているんです。
すごいことですよねー。
これに対しておよそ3万2000社を対象にして年4回行われる、財務省の法人企業統計調査は明暗が分かれています。
はい。
5月10日の締め切り時点で回収率は62%にとどまって、期限を2か月延長して最終的に通常並みの71%を確保したんですが、日銀の短観には遠く及んでいません。
何か短観には秘密があるんですかね?
気になりますよね?
はーい!(*゚▽゚*)
実は、短観の協力企業には毎年秋、2000円程度の洋菓子が謝礼として届くそうです。
はい(笑)
日銀の調査統計局長や支店長の名前が入った熨斗紙(のし)付きで、
ええ。
受け取った企業の担当者は「食べると調査に回答しないといけないと
はい(笑)
改めて認識する」と話しています。
へー。
日銀も、謝礼品の存在が回収率の上昇につながっている面は否定していません。
まさかの「お菓子作戦」なんですか?
フフフフ(笑)はい。
まあでもそこまでしても、回収率を上げたいわけですよね?
そのようなんです。日銀の短観は、景気が変化する局面をとらえる際に重要な指標となっています。
はい。
元職員でエコノミストの鈴木卓実さんによると「アベノミクスで経済の活性化が続いたこの7年余りは、金融市場での注目度は低かった」そうなんですが、
ええ。
この春以降は、企業の業績や設備投資、雇用情勢が急速に悪化の兆しを見せ始めていて、日銀の短観はコロナ禍でこそ真価が問われると見ています。
なるほど。ま、今のような社会だったり経済の様子が大きく変化しているときこそ、この注目度もあがりますよね。
そうなんですね。