コロナのデマ、拡散させた「主犯」は?
2020年09月01日放送
満員電車コロナで消えた?東京名物
読売新聞 8月9日掲載
ラジオ版New門 (文字起こしバージョン)
「この門を開けばニュースの世界がよりくっきり見えてくる」ラジオ版NEW門 ニュースの門です。今回のテーマは「満員電車」です。NEW門先月9日掲載の『東京名物「満員電車」、実は法的にはグレー?』についてピックアップしてお伝えします。
はーい。満員電車って、あの、今のこの時期だと、新型コロナの影響もあって
はい。
「怖いな」っていう気持ちもありますし、そうでなくても、「暑いし狭いし辛いな」と思いますよね。
そうですね。都心では、車内で身動きもとれず、人波にもまれるように乗り降りをすると。
うーん。(*_ _)
日本の日常の光景だった朝夕の「満員電車」ですけど、新型コロナウイルスの影響もあってあまり見られなくなりました。
はい。
難しいとみられていたラッシュの解消が図らずも実現した格好ですけれども、
ええ。
今回は、そんな満員電車のお話です。
ところで、そんな満員電車っていつ頃からあったと思います?
いつ頃から?
うーん。
高度経済成長期ぐらいでしょうかね。
はいはいはい。
人がバーッと行く感じがしますけれど(笑)。
フフフフ(笑)。
電車に乗るイメージがありますが
実はですね、100年前にはあったようなんです。
100年前・・・
1918年に発表されて、東京の名所や流行などを面白おかしく歌って流行した「東京節」にも
♪東京の名物 満員電車 いつまで待ってても乗れやしねえ 乗るにゃけんか腰 命がけ
なんて一説があるんですね。
はーい。
この歌詞のように、東京の電車はこの頃すでに大変な混雑ぶりだったようなんです。
うーん。
1872年、新橋から横浜間で、初めて鉄道が開業して、1900年代には、東京の各地で新しい路線が開通をしたんですけれど、人口の増加に鉄道の整備が追いつかずに、当時の東京市電では、車外にお客さんがぶら下がって、駅に到着した電車に乗れず
はーい。
1時間待たされることもあったそうなんです。
あー。1時間待ちはすごいですねー。
うーん。
ところでこの満員電車って、日本独自の風景なんですかねー?
そう思いがちかもしれないんですが、実は海外にも存在しています。
はい。
「海外鉄道技術協力協会」などによりますと、たとえば、中国は、経済発展に伴って鉄道の利用者が増えたために都市部の乗換駅は激しく混むそうで、
はい。
ホームに人が殺到しないように入場規制を頻繁にかけるそうです。一方ヨーロッパは日本ほど都市に人が集中していないので、通勤電車が満員になることはあっても、比較的ゆったりとしていて、座って通勤できることも多いそうです。
あー。そうなんですねー。今日のタイトルにある
はい。
「満員電車が法的にグレー?」というのも、どういうことなんだろうと気になりますね。
はい。気になる方もいると思うんですが、100年以上も続く満員電車なんですけど、実は法的にはグレーな状態にあると言えなくもないようなんです。
はい。
1900年の制定から使われている「鉄道営業法」という法律では「乗客は座席に限って乗車することができる」と規定していまして
はい。Σ(゚ロ゚;)
鉄道職員が強制的に定員を超えて乗車させた場合、罰金または科料の罰則もあるとしているんです。
そんな法律があるんですねー?
そうなんです。そうすると満員電車はずっと違法だったようにも読めますけど
はい。
国土交通省によると、少なくとも今は事業者と乗客が「座席がなくても乗っていい」と了承し合っていると解釈されているそうで
ええ。
罰則が適用された例もありません。
はい。
とはいってもですよ、こうした状態が座視されてきたわけではなくて、東京市電はラッシュ軽減を目的に1923年、初の急行を運行しました。
はい。
その後、各地で増便や車両数も増やしているんです。
また終戦前後には、現在の銀座線渋谷駅で、お客さんを早く乗せるために
駅員などが並び方を書いた紙をですね、
はい。
胸と背中にかけて、説明して回ったそうです。
へー。(*゚0゚)
この取り組みで整列乗車が定着したとされていて、当時の鉄道省から表彰を受けたこともあるそうです。
そういう地道な取り組みもあったんですねー。
ええあったんですよー。交通評論家の佐藤信之さんは「混雑緩和の工夫から、整列乗車や緻密なダイヤ、綿密なダイヤが発達した。勤勉でまじめな国民性ともマッチした」と語っています。
ところで、満員電車に関連して、国や鉄道事業者が今、重視している数値があるんです。
はい。
それは「混雑率」という指標です。
「混雑率」ということで、文字通り「どれぐらい混んでいるか」ということですよね?
はい。1つの車両の座席の数や立っている乗客の数などを元に、定員と実際の乗客の数を比べたもので、200%だったら定員の倍となります。国土交通省によりますと、混雑率が定着した1975年度の東京圏の主要路線の平均混雑率は、221%
はーい。
大阪圏、名古屋圏もおよそ200%で、小柄な人だったら、人に挟まれて足が宙に浮きかねない状態だったそうです。
わ。すごいですねー。
とても混んでいたということですよね。
それがですよ?2018年度には東京で163%に低下していますが、
はい。
それでも隣の人との間隔はほぼないうえ、「圧迫感を覚える状態」(国交省)で、朝夕の混雑も激しいものでした。
はい。(lll ̄□ ̄)
そんな状況を一変させたのが、今の新型コロナの感染拡大です。外出自粛や在宅勤務の影響で、鉄道の利用者は激減しまして、山手線の利用者は6月、感染拡大前の6割に戻りましたけれど、在宅勤務の広がりなどもあって、全体で7割程度にしか回復しないという見方もあります。
混雑が減るのはよさそうですけれども、鉄道会社や利益にとっても響きそうですよね。
そこなんです。そこでJR東日本の深沢祐二社長は7月、国内の鉄道会社で初めて、時間帯で運賃を変える「ダイナミックプライシング」という制度の導入の検討を始めたと明らかにしました。
はい。
このまま客足が戻らないことを想定して、混む時間帯の運賃を上げて
うーん。
利用が少ない時間に誘導することで、利益の確保とか、さらなる混雑緩和を図る狙いです。実現するまで、ラッシュを避けた利用者に、独自のポイントを与える制度を年度内にも導入する見通しです。
はい。
また、JR西日本も運賃体系の見直しを検討していまして、鉄道各社の動向というのが注目されそうです。
ま長ーく続いていたこの満員電車という状態、状況も、新型コロナウイルスの影響で変化を迎えていて
はい。
ほんとに社会の様子がガラッと変わる出来事だなあと改めて感じますよねー。
そうですね。そういう中で「ダイナミックプライシング」をはじめとする新しい動きというのが気になるところですが、
はい。
今後の動向、注目です。